これから個人事業主として新たな一歩を踏み出すあなたへ。素晴らしい商品やサービスがあっても、それだけでは事業は成功しません。実は、多くの個人事業主が「お客様に商品を届ける」という、マーケティングのプロセスでつまずいてしまいます。
「良いものを作れば、自然と売れるはず」
そう考えている方も多いかもしれませんが、残念ながら、それは幻想です。
この記事では、個人事業主が事業を継続させ、お客様に選ばれ続けるために不可欠な「マーケティング」の基本的な考え方を、初心者の方にも分かりやすく、専門用語を噛み砕きながら解説します。事業開始後に「もっと早く知っておけばよかった」とならないために、ぜひご一読ください。
なぜ、個人事業主は事業を始める前にマーケティングを学ぶべきなのか?
まず結論からお伝えすると、マーケティングを理解しているかどうかで、事業の成功確率が大きく変わるからです。その理由を2つのポイントから解説します。
事業の本質とは「お客様に価値を提供し、選ばれ続ける活動」
事業とは、単にお金を稼ぐことではありません。自らの持つ技術や知識(資源)を活用し、お客様が抱える課題を解決したり、ニーズに応えたりすることで「価値」を提供し、その対価をいただく活動です。
そして、個人事業主として事業を安定させるために最も重要なのは、一度きりでなく「継続的に選ばれ続ける」ことです。この「選ばれ続ける」状態を作る活動こそが、マーケティングの核心です。
「作る」のは簡単、「届ける」のが本当に難しい
情熱を持って、質の高いサービスや商品を作り上げることは、多くの人が達成できます。なぜなら、商品開発は第三者を介さず、自分の裁量の範囲で完結させやすいからです。
しかし、その価値を必要としているお客様に「知ってもらい」「興味を持ってもらい」「購入してもらう」というプロセス、つまり「届ける」ことが事業の成功を左右する最大の壁となります。
どんなに優れた商品も、お客様の目に触れなければ存在しないのと同じです。この「届ける」仕組みを戦略的に作り上げることが、個人事業主にとってのマーケティングなのです。
誤解されがちな「マーケティング」の本当の意味
「マーケティング」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?実は、マーケティングには広い意味と狭い意味があり、ここを整理すると理解が深まります。
あなたのイメージするマーケティングは?(広義と狭義のマーケティング)
狭義のマーケティング(多くの人のイメージ)
Web広告やSNS運用、チラシ配り、SEO対策といった「集客活動」のこと。見込み顧客を集め、営業担当に引き渡すまでを指します。一般的に「マーケティング」と言うと、こちらを指すことが多いです。
広義のマーケティング
市場調査から、どのような商品を、いくらで、どこで、どのように売るか、といった商品設計から販売戦略までの全てを含みます。事業活動そのものと言っても過言ではありません。
初心者がまず理解すべきマーケティングとは「購入までの流れを作ること」
難しく考える必要はありません。個人事業主がまず集中すべきなのは、「あなたの商品・サービスがお客様に購入されるまでの一連の流れを設計し、実行すること」です。
SNSでの発信や広告は、その流れの一部品に過ぎません。全体像を理解することが、着実に成果を出すための鍵となります。
マーケティングは「線」で捉えよう!購入までのシンプルな3ステップ
広告やSNSといった施策をバラバラの「点」で考えるのではなく、お客様との出会いから購入までを一本の「線」で捉えることが重要です。
ここでは、その流れを最も基本的な3つのステップに分けて解説します。個人事業主の方は、ご自身の事業をこの3つのステップに当てはめ、それぞれの指標を常に意識しましょう。
ステップ1:認知【知ってもらう段階】
目的:まずはあなたや、あなたの商品・サービスの存在を一人でも多くの人に知ってもらうこと。
見るべき指標:トラフィック数
トラフィック数とは?
あなたやあなたの事業が発信する情報に、どれだけの人が触れたかを示す指標です。具体的には、Webサイトへのアクセス数や店舗への来店者数などが直接的な指標になります。また、SNS投稿の表示回数(インプレッション数)やブログ記事の閲覧数も重要な指標ですが、これらはまず「コンテンツ」を知ってもらった数と捉えると良いでしょう。これらのコンテンツを通じて、最終的にあなたの商品やサービス自体の認知につなげていくことが目的です。この数が全ての始まりであり、母数となります。
ステップ2:流入【興味を持ってもらう段階】
目的:サービスへの関心を、問い合わせや資料請求といった具体的な行動に変えてもらうこと。
見るべき指標:リード数
リード数とは?
最終的な購入の前に設定される中間的なゴール(第一コンバージョン)を達成した数です。具体的には、問い合わせ件数、資料請求の件数、無料カウンセリングの申込数などを指します。「リード(Lead)」は「見込み顧客」そのものを指すこともあり、将来的に顧客になる可能性のある人々のリストだと考えてください。
ステップ3:購入【選んでもらう段階】
目的:最終的にあなたの商品・サービスを選んでもらい、購入していただくこと。
見るべき指標:コンバージョン(CV)数
コンバージョン数とは?
事業における最終的な成果の数です。「コンバージョン(Conversion)」は「転換」を意味し、見込み顧客が実際の顧客に転換したことを示します。具体的には、商品やサービスの購入数、有料プランへの契約数、予約の確定数などを指します。
この3つのステップは、「1000人に知ってもらい(認知)、そのうち50人が興味を持ち(流入)、最終的に2人が買ってくれる(購入)」というように、徐々に数が絞られていきます。このように、漏斗(ろうと)のような形のモデルをマーケティングの世界では「ファネル」と呼びます。ぜひ覚えておきましょう。それぞれの段階で、どれだけの人を次のステップに進められるかが、マーケティングの腕の見せ所です。
まとめ:明日からできる、個人事業主のマーケティング第一歩
この記事では、個人事業主が事業を成功させるために不可欠なマーケティングの基本的な考え方について解説しました。
- 事業とは「お客様に選ばれ続ける活動」であり、そのためにマーケティングが必要です。
- マーケティングとは難しく考えず、「購入までの流れを作ること」と捉えましょう。
- 「認知(トラフィック数)→ 流入(リード数) → 購入(コンバージョン数)」 この3つのステップと指標を常に意識することが成功への近道です。
さあ、今日からあなたもマーケターです。
まずは、ご自身の事業において、この3つのステップそれぞれで「具体的に何ができるか?」を紙に書き出してみることから始めてみてください。この「流れ」を意識するだけで、あなたの事業は大きく前進するはずです。
実践で悩んだら、専門家に相談してみよう
この記事を読んでマーケティングの全体像は掴めたものの、「じゃあ、自分の場合は具体的に何をすればいいの?」「今のやり方で本当に合っているのかな?」といった新たな疑問が生まれてきた方もいらっしゃるかもしれません。
理論を学ぶことと、それを自分の事業に落とし込んで実践することは全く別の難しさがあります。
もしあなたが、
- マーケティングの何から手をつければいいか分からない
- 集客の仕組みづくりを具体的に相談したい
- 自分の事業の課題を客観的に見てほしい
と感じているなら、一度プロに相談してみるのも一つの手です。
ワンアンドマーケティングでは、個人事業主や中小企業向けに、事業の課題に合わせたマーケティングの仕組みづくりをサポートしています。無料カウンセリングを行っていますので、まずはあなたの事業の状況や課題を気軽に話してみませんか?